[原子力産業新聞] 2003年4月25日 第2183号 <3面>

[英国] 原子力廃止措置当局 設置作業が進展

 英国のB・ウィルソン・エネルギー相は3月31日、議会への声明の中で、古い原子力施設の長期的な浄化・管理の担当機関となる「原子力廃止措置当局(NDA)」の本部は西カンブリアに置く計画であることを明らかにした。

 英国政府は昨年7月、原子力遺物の管理に関する白書を発表し、原子力関連の歴史な遺物の浄化・管理政策を今後大幅に変更するとの行動戦略を提示。このため新たに設置するNDAでは、浄化作業契約の競争市場を通じて最良の技術を採用し、高い安全性や環境基準、保証レベルを保てるだけの資金を長期的に確保できるような浄化プログラムの枠組みを構築する。そして、現在、英原子燃料会社(BNFL)が所有・運転するマグノックス炉や英原子力公社が管理しているドーンレイなどの施設についても、その浄化と管理を同機関が担当するとしている。

 NDAの設置法案はすでに今期の議会審議に上程されることになっており、2005年の4月までには活動の開始が可能になると見込まれている。また、これに関連して、英国政府は3日、原子力遺物の今後10年間の浄化作業に毎年10億ポンド(1880億円)、計画全体の百年間では480億ポンド(9024億円)かかるとの見積もり結果を明らかにした。

ウィルソン・エネルギー相の説明によると、西カンブリアは使用済み燃料再処理工場があるBNFLのセラフィールド施設や最古の原子炉であるコールダーホール原子力発電所が立地するなど古くから原子力産業との係わり合いが深く、NDAの本拠地としては理想的。同地の豊富な経験と専門知識はNDAにとって貴重な資源になると述べた。同相はまた、NDAの立地により本部だけで50〜100名程度の質の高い直接雇用機会が創出されると強調。経済的な効果および多様化は地元にとっても重要な利益をもたらすことになるとの認識を示した。


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