[原子力産業新聞] 2003年5月8日 第2184号 <1面>

[NPT運用検討会議] 北朝鮮問題など討議

 スイス・ジュネーブの国連欧州本部(=写真)で、4月28日から5月9日まで、2005年に開かれる核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の第2回準備委員会が開催され、北朝鮮やイラクの核兵器開発問題をはじめ、NPT体制の維持・強化のため、同運用会議に向けた議論が行われている。NPT運用検討会議は、5年に一度開かれるもので、条約の運用状況等について加盟国(現在188か国)が協議する。

 昨年の第1回準備会合では、核不拡散体制の強化・拡充が不可欠との合意が得られ、テロ対策として核物質防護条約への加盟、核実験禁止条約の早期発効、国際原子力機関(IAEA)との保障措置追加議定書の早期締結などが合意された。

 今会合では、29日、IAEAのデクラーク渉外・政策調整室長が、「多国間による核不拡散・核軍縮努力は、その内側と外側から大きな挑戦を受けている」と述べ、これらに対応するためにも、NPTにもとづくIAEA査察の効率的な実施が重要とした。北朝鮮問題についてデクラーク室長は、1992年に同国でNPT保障措置協定が発効して以来、IAEAは一度も北朝鮮による核物質申告の正確性・完全性を保証できていないと述べ、北朝鮮のNPT上の地位について加盟国が共通の見解をまとめ、北朝鮮へNPTへ復帰を促すよう求めた。

 日本の猪口軍縮代表部大使は29日、北朝鮮問題に関して、「北朝鮮によって採られた措置を深く懸念する」とし、「北朝鮮が核兵器を開発、移転、保有することを決して認められない」と強調、北朝鮮に対し、NPT上のすべての義務を遵守し、核関連施設の再凍結し、核兵器開発計画の検証可能かつ不可逆的な形で撤廃することなどを強く求めた。


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