[原子力産業新聞] 2003年5月8日 第2184号 <2面>

[原子力委員会] 2法人統合めぐり 大学との連携で意見交換

 原子力委員会は6日、日本学術会議から、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合にあたって、大学での原子力教育・研究に関する現状と課題を含め、新法人への期待を聞いて意見交換を行った。

 日本学術会議の原子力工学研究連絡委員会の委員長をつとめる木村逸郎・原子力安全システム研究所技術システム研究所長らが出席し、大学と国の研究機関による「ネットワーク型原子力教育システム」の構築などを提言。また新法人との連携のあり方について、共同研究の拡充など、要望を行った。

 この日の意見交換に出席したは木村氏ら日本学術会議側からは、人材の養成に関する課題、また特に大学が有する研究炉等の設備維持の課題などが指摘された。

 日本学術会議が先に行ったアンケート調査の結果等では、各大学の研究炉は原子力工学の研究に自らの大学にある炉を利用するケースが全体の六割を超える状況が判明、研究炉が人材養成にあたり重要な役割を果たす一方で今後設備の維持管理が問題であり、国の役割も不可欠との指摘がなされた。燃料の後処理の問題から京大炉(KUR)が2006年以降の運転のメドがたっていないなど厳し状況、加えて国立大学が独立法人化される状況等を踏まえて、日本学術会議側からは原子力関連研究の位置づけについて、原子力研究教育の社会的なニーズや学内および文部科学省における認識といった問題認識が示された。

 意見を聞いた藤家洋一原子力委員会委員長は、大学の現状等について問題点を認識すると述べる一方で、大学研究の将来ビジョンを明確にし、新法人との連携に関して具体的な要望を行うよう求めた。遠藤哲也委員長代理もよりピンポイントに要望を示してほしいとした。 法人統合の担当委員である竹内哲夫委員は二法人等を交え、改めて話し合いの場をもつ必要があると述べた。


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