[原子力産業新聞] 2003年5月8日 第2184号 <5面>

[IEA閣僚理事会] エネ安全保障など論議

 4月28日、29日の両日、フランスのパリで第十九回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会がウィルソン英閣外大臣(エネルギー、建設担当)の議長のもとに開催され、日本からは平沼赳夫・経済産業相、日出外務大臣政務官が出席した。閣僚理事会では、五つのセッションの下、「投資における課題」、「短期的リスクとその対応策」、「エネルギー・セキュリティの新しい側面」、「共通目標の非加盟国への拡大」及び「共通目標の強化」についてそれぞれ議論し、コミュニケを採択した。

 その結果、各加盟国間で、@イラク情勢に対し、IEAとして的確に対応できたことを評価Aエネルギー安全保障の重要性の再確認エネルギー源、供給源及び供給ルートの多様化を支持Bそれぞれの国が原子力や再生可能エネルギーを含め、エネルギー・ミックスを選択してきたことを確認−等の問題認識を共有したとしている。

 そのうえで、理事会でとりまとめたコミュニケには、「エネルギー安全保障、環境保全及び経済成長――いわゆる3E――は、IEAのエネルギー政策の指針として、依然揺るぎないもの」との認識を盛り込み、「我々が共通目標を達成するためには、変化する状況に絶えず適応し、コミットメントを更新していくことが必要」との基本的な考え方を示した。

 そのうえで、投資、多様化、効率性及び技術の課題への対応 に関し、「エネルギー源、供給源及び供給ルートの多様化は、エネルギー安全保障の向上を図る上で依然として不可欠」とし、「エネルギー資源の賦存状況や国家政策に基づき、それぞれの国が石油、ガス、石炭、原子力及び再生可能エネルギーの中からそれぞれのエネルギー・ミックスを選択してきた。我々は、エネルギーに関連する研究、開発、実証及び普及に対する一層の支援を含め、多様化促進のための政策及び計画が、各国内におけるプライオリティに沿った形で引き続き進められていくことを求める」。また「我々は、汚染及び炭素排出量が低いクリーン・テクノロジーの商業的な利用が加速化されることに、引き続き特に関心を抱いている」との認識を盛り込んだ。


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