[原子力産業新聞] 2003年5月15日 第2185号 <3面>

[ウクライナ] チェルノブイリ 石棺改修で進展

 ウクライナの国際チェルノブイリ・センターが先月末に伝えたところによると、4号機を封じ込めている現行のシェルターを生態学的に安全なシステムに最終的に改修するための国際プロジェクトは、今年中に契約請負い業者の入札を開始するなど作業が本格化する見通しになってきた。

 同発電所のV・フォミン第一副所長の話では、石棺の安全な管理に必要な設備や資材の調達などで今年だけで7700万ドルの支出が見込まれている。同氏がウクライナ議会の燃料・エネルギーおよび原子力政策担当委員会と協議した結果、新たなシェルターの建造には膨大な量の作業を要することから、プロジェクト全体のスケジュールも正式な見直し作業が必要になってきたとしている。

 98年に始まった「シェルター実施プロジェクト(SIP)」では、欧州復興開発銀行(EBRD)の管理によるSIP基金で利用可能な約3億ドルのうち、すでに1億2000万ドルが支出されている。5月中には現行の石棺構造の安定化設計が固まる予定であるほか、約1500名の人員を投入する現地作業も含めて計画全体が大きく進展する見通し。ただし、石棺内部に残された燃料を管理する最終戦略の策定については、新たな閉じ込め施設の設計が完了した後になるとしている。

 同発電所としてはまた、現行のシェルターが暫定的なプロジェクトと受け取られがちな一方、現地では科学的、専門的な作業も継続して実施中で、石棺構造の崩壊防止対策など最優先作業も万全である点を強調。「さらなる安定化のための設計作業は近々完了することになっており、9月には請負業者を決定。今年末までには実質的な作業を開始できる」との見通しを示した。


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