[原子力産業新聞] 2003年5月22日 第2186号 <1面>

[原子力安全・保安部会] 原子力発電所の新たな検査制度 国の要求事項を審議

 原子力安全・保安部会の検査の在り方に関する検討会(委員長=班目春樹・東大院教授)は21日、第9回会合を開き、原子力発電所等の検査制度見直しにあたって、事業者の品質保証と保安管理の両面について、国としての要求事項案に基づく審議を行った。検査の体系について、プロセスの透明性を担保することが重要などの各委員からの意見を踏まえ、来月にも次回会合を開き、意見公募のための案をとりまとめる方針。

 新たな検査制度は、今年10月をメドにスタートすることとしており、検討会では東京電力の一連の不正問題等も踏まえ、抜き打ち検査などを導入し、事業者の保安活動の体制も含めて従来以上に実効性ある検査制度を具体化することをめざしている。

 この日の検討会では、規制当局の原子力安全・保安院から、新たな検査体系の全体像とともに、事業者に国が求める品質保証、保守管理等の要求事項の案などが示され、審議が行われた。

 品質保証については、これまでの検討に基づき、目的や適用範囲、定義のほか、組織、計画、また実施と評価、さらに改善という一連の流れに沿った事項が示され、法令上の位置づけや具体化にあたっての民間規格活用のあり方等もあわせて示された。民間規格については日本電気協会が、ISOの概念導入など品質保証の規格改定を10月メドに進めており、同規格の活用をはかる方針としている。

 保守管理に関しても、法改正によって今年10月に導入される「定期事業者検査」を踏まえ、事業者の保守管理活動について、施設を構成する機器や設備に対応した保守管理活動が適切に行われる体制を構築することを主眼に、国の要求事項として保守管理の目的や対象範囲、保全プログラムの実施等の考え方が示された。民間規格は、現在策定中の日本電気協会の関連規程の採用が考えられている。

 これらの案に対して各委員からは、検査体制全体のプロセスの透明性を担保することや、制度を実際に支える人材面の位置づけなど意見が出された。検討会は次回、今回の意見を踏まえた要求事項の具体案を含めて、新たな検査制度の骨格を固め、意見公募のための素案をまとめる予定。


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