[原子力産業新聞] 2003年5月22日 第2186号 <2面> |
[原子力委員会] サイクル政策で意見聴く原子力委員会は20日、核燃料サイクルのあり方を考える検討会を開き、有識者四氏からの意見を聴いた。 出席した石井保・三菱マテリアル原子力顧問は、再処理などバックエンド対策が原子力開発のなかで先送りされてきた面があると指摘。六ヶ所村で操業にむけ試験中の商業用再処理施設はじめ、国内でのMOX燃料加工体制の構築、高レベル放射性廃棄物の処理処分などバックエンド分野の研究開発を一層促進する重要性を強調した。 近藤駿介・東大院教授は、東京電力の一連の不正問題や自由化を踏まえ、電力会社が、効率的で効果的なリスク管理を行えるような経営体質を抜本強化する必要があるなかで、原子力委員会が積極的に問題提起する等、その主導性を発揮することを求めた。また自由化等の進展のなかで、電力会社が限られた経営資源を核燃料サイクル分野に投入する場合に技術面での不確実性を低減するための研究開発にも、原子力委員会の積極的な役割を求めた。 佐和隆光・京大経済研所長は、30年から40年という長期的な視野にたって原子力が絶対に必要かどうかなどの論点を検討したうえで、原子力発電を自由化の枠外(市場競争からの隔離)にするとすれば官民の原子力開発の役割や自由化のあり方を入念に検討すべきとした。また刈羽村での住民投票などを例に、「国策」としての正当性が薄れてきているとの考えを示し、原子力の必要性に対する国民の懐疑的な見方に対応するうえで原点に立ち返った「必要性」の議論が重要とした。 山地憲治東大教授は、「核燃料サイクルの確立」という建前に電力会社も地元も振り回されているのではないか等の疑問を示し、拙速な核燃料サイクル確立は原子力の推進に逆効果になるとの考えを示した。そのうえで、全量再処理という核燃料サイクル確立の建前を変更し、再処理から中間貯蔵に重点を置くサイクル路線の転換も考える必要があることを述べた。また核燃料サイクルバックエンドの選択肢について、本格的な政策評価を行い公表することが重要とした。 |