[原子力産業新聞] 2003年6月5日 第2188号 <3面>

[南ア・エスコム社] PBMR開発計画 「実証段階に移行へ」

 南アフリカ共和国の国有電力会社でペブルベッド・モジュール型炉(PBMR)の開発を主導しているエスコム社は5月16日、環境影響評価の決定文書や許認可など法的に必要な承認が南ア政府から得られれば、同プロジェクトは今後、実証ユニットの開発、建設、および起動など次の段階に進めていくことになると発表した。また、法的な承認のほかにコストや性能基準など特定の条件がクリアできれば、PBMRの実証ユニットおよびその後続ユニットについても同社が購入していく方針に変更はないと強調している。

 エスコム社はこのプロジェクトの推進母体であるPBMR社の最大株主で、現在30%を出資。PBMR社に対してはこのほか、南ア政府所有の産業開発公社(IDC)が25%、英国原子力燃料会社(BNFL)が22.5%を出資している。また、これまで12.5%出資していた米国のエクセロン社は昨年、「当社の中心事業ではない」として撤退を表明。しかし、南ア政府が実証プロジェクトを認可した場合、同社はPBMRを40基購入するとの意志を表明したとPBMR社は伝えている。

 このプロジェクトでPBMR社は、アフリカ唯一の原子力発電所であるケープタウン近郊のクバーグ発電所サイトに電気出力11万キロワットの実証炉を建設するほか、プレトリア近郊のペリンダバには低濃縮ウランを黒鉛で被覆した専用燃料の製造工場を建設する計画。すでに環境影響評価(EIA)プロセスを完了し、昨年10月末にはその最終報告書を環境省に提出した。今後の実証段階への移行に際し、同社では出資企業からの承認と政府によるEIA決定文書の発行に加え、政府規制当局の建設認可発給と内閣の承認が必要になるとの認識を改めて表明したもの。

 このようなPBMR実証計画についてエスコム・ホールディングス社のT・グカバシェ最高経営責任者は、「南ア全体にとって重要なマクロ経済的、社会的、戦略的な利益をもたらす可能性のある国家実証プロジェクトだ」と評価した。


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