[原子力産業新聞] 2003年6月12日 第2189号 <1面>

[原子力安全・保安院] 柏崎で説明会

 原子力安全・保安院は6日、新潟県柏崎市の市民会館で住民説明会を開いた。地元住民など約650名の参加者が会場につめかけた。説明会には平沼赳夫経済産業大臣が出席(=写真下)、長年にわたる立地地域の協力に謝意を示す一方で、今回の一連の不正を未然に防止できなかったことについて「地元のみなさんの信頼を裏切り、大変ご心配をかけて申し訳ない」と地元住民に直接陳謝した。そのうえで、首都圏のひっ迫する電力需給など「現実には原子力発電に頼らざるを得ない。安全と安心をいただけるよう取り組む決意だ」と強調し、理解を求めた。

 このあと説明会は二部形式で行われ、前半に保安院の佐々木宜彦院長が中心となって、これまでの取り組みを説明、後半で住民からの質問を受けた。

 佐々木院長は、説明の前に、これまで国の対応について陳謝。そのうえで炉心シュラウドにみられたひび割れの健全性評価(柏崎刈羽発電所では1、2、3、5号機)について、専門家の見解も踏まえ、基本的に5年後においても十分な強度を有する評価が得られたとする一方で、継続して割れが進展するものについては余裕のあるうちに補修を行うか、補修の必要のないものも今後適切な頻度で点検すべき、との国の判断を説明した。また実際の補修にあたっては国が事業者からの工事計画にもとづき、ひびを除去した後も十分強度が保たれているかどうか確認すると説明した。

 一方、原子炉再循環系配管にみられたひび割れについては、検査方法の精度等の問題から信頼性の高い健全性評価は困難とし、現状では、すべて補修すべきとの考え方を説明。国として、補修が適切に行われることを確認していく方針を示した。

 質疑応答では、なぜ不正を見抜けなかったのか、責任の取り方が不明確など厳しい指摘をはじめ、保安院の独立性や検査員の質の向上など多くの質問や意見が会場から寄せられた。 これに対し、保安院の佐々木院長は、維持基準などルールの明確化を含めて対応が遅れたことについて率直に反省しなければならないとしたうえで、再発防止にむけた検査体制の確立や、それを支える検査員の質的な向上などに真剣に取り組んでいくことを強調した。

 また会場からトラブル等の説明責任に関して、もっと国が前面に出るべきとの要望について佐々木院長は、細かいトラブルごとに、その都度直接行うことには限界があるとしながらも、検討中の維持基準の導入に際する意見聴取など節目節目には、国が地元住民から直接意見を聴く場を設けていく姿勢を示した。

 説明会は8日に刈羽村でも開かれた。


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