[原子力産業新聞] 2003年6月12日 第2189号 <2面>

[総合資源エネ調査会] 原子力の位置づけなど議論 基本計画部会開く

 経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の基本計画部会は11日、第3回会合を開き、エネルギー基本法の策定にあたって原子力開発をめぐる議論を行った。各委員からは、「基軸エネルギーとしての位置づけを明確にすべき」、「原子力発電と核燃料サイクル開発は車の両輪として進める必要がある」など原子力の環境等に対する優位性やエネルギー自給率を担う主力電源として明確な位置づけと開発促進を求める意見が相次いだ。

 この日の部会では、原子力発電がエネルギー自給率、環境等に果たす役割の重要性が議論される一方で、東京電力の一連の不正問題を踏まえて国民の理解普及等についても発言が相次いだ。

 原子力のエネルギー政策上の位置づけについては、委員をつとめる藤洋作・電気事業連合会会長が、21世紀に入って資源制約がますます強まるなどの見通しから原子力について「基軸エネルギーとしての位置づけを明確にするべき」とした。同氏はまた廃棄物等、バックエンド対策の長期的な取り組みが必要な中で、今後の自由化等を踏まえ、「長期的なコスト回収の仕組みが必要」とし、早急に自由化における原子力の位置づけの議論を行うべきとした。また秋元勇巳・三菱マテリアル会長は、「発電と核燃料サイクルは車の両輪であり、関連の研究にも力を注ぐべき」などと述べ、廃棄物量低減や核不拡散抵抗性など原子力本来の特性を発揮するための核燃料サイクル開発、さらには高速増殖炉開発の取り組みの重要性を強調した。妻木紀雄・全国電力関連産業労働組合総連合会長も「現場で働く者にとって、わかりやすく原子力の位置づけを示してもらうことが重要」との見解を示した。岡部正彦・日本通運社長は、わが国のエネルギー自給率が原子力を入れなければ4%にすぎない点を指摘し、「問題をひとつひとつ克服し、原子力開発にもっと自信をもって進めてほしい」と期待を表明した。

 各委員からの意見について、部会長の茅陽一・地球環境産業技術研究機構副理事長兼研究所長は「今後の基本計画案の策定に反映していく」考えを示した。


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