[原子力産業新聞] 2003年6月19日 第2190号 <3面>

[英BE社] 02/03年度の決算速報 43億ポンドの損失

 英国の原子力持ち株会社であるブリティッシュ・エナジー(BE)社は3日、3月末〆の2002/03会計年度・決算速報を公表し、税引き前・例外支出項目差し引き後の損失が前年度の4億9300万ポンドから43億ポンドに跳ね上がるなど「深くダメージを負った年」となったことを明らかにした。

 同社は昨年9月に経営破綻して以降、政府の同意の元で再建計画を進めているが、01/02年度実績で4200万ポンドの利益が出ていたのに対して、02/03年度は例外支出項目と合わせ、税引き前利益は1億3000万ポンドの損失となっている。これについて同社のA・モンタギュー会長は、例外支出項目として原子力資産だけで35億8700万ポンド、エッグボロー火力発電所でも1億5100万ポンド簿価を切り下げたのが大きく影響したと指摘。さらに廃止措置基金や従業員信託基金の株式についても簿価を切り下げたことを明らかにしている。

 同会長はまた、BE社が所有している米国のアマージェン社株50%については購入希望者達との交渉が続いている点を強調。カナダのブルース・パワー社株の売却も含め、北米における発電事業の持ち株売却が財政再建計画の要となっている事実に言及した。

 

 同社のM・アレクサンダー最高経営責任者は、今回の速報値は英国の電力市場の非常に厳しい現状を反映していると指摘。市場の電力価格が低い水準に留まっているほか、トーネス原子力発電所やダンジネスB発電所での計画外停止により、原子力発電所からの発電量が前年度実績から38億キロワット時低下したこと、達成価格が10%引き下げられたことなどを挙げた。また、営業利益の低下については2月にブルース・パワー社株を売却した影響であると指摘している。


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