[原子力産業新聞] 2003年7月3日 第2192号 <1面> |
[原子力委] 敦賀市で「市民参加墾」原子力委員会・市民参加懇談会は6月28日午後、「原子力と地域社会」をテーマに、福井県敦賀市の福祉総合センターで、通算6回目となる「市民参加懇談会in敦賀」(=写真)を開催、梅雨空の中、約250名の市民が参加した。 市民参加墾ではまず、木元教子・主任原子力委員が、原子力開発における福井県の長年の密接な関わりを踏まえ、「原子力事故等を地域はどのように受け止めているか」を探りたいと、敦賀市での開催の意味を説明した。 第1部では、科学ジャーナリストの中村浩美氏が司会、平山禮子(敦賀市女性エネの会会長)、住田健二(大阪大学名誉教授)、橋詰武宏(福井新聞論説委員長)の各氏を招き、パネル・ディスカッションが開かれた。 パネルでは、まず、原子力のもたらしたプラスの面、マイナスの面について議論、平山氏は道路の整備や各種施設の建設など、生活上のインフラ整備を挙げ、「白木地区に道路ができ、車で簡単に行けるようになった」と述べた。 橋詰氏は、「この地域には主立った地場産業がなく、京都や大阪に稼ぎに出るのが歴史だった」と述べ、地元の人々に就職の場を与え、若者が定着できる基盤を作った役割も大きいと述べた。同氏はさらに、原子力と地元の産業界、教育界、医療・福祉などの連繋による「共生」を提言した。 住田氏は、「年間1500億円もの地域振興費が地元に落ちる日本の特殊性」と、原子力発電の経済面のメリットを挙げながらも、放射線利用や温排水を使った産業の発展など幅広い分野で地元の産業に貢献し、地域社会との結びつきを深めるよう求めた。 原子力のもたらすマイナスの面として、平山氏は風評被害を挙げ、「色々なことをもっともらしく噂される」と述べた。橋詰氏はマイナス面として「不安感」を指摘、何かあったときの住民の不安感は「経済的なプラス面を吹き飛ばす」と警告した。同氏は、JCO事故等により住民が「他人事ではない」との意識を持ったと指摘、情報公開などによりこの不安感を解消することが、共生への鍵だと述べた。 |