[原子力産業新聞] 2003年7月10日 第2193号 <1面>

[福島県] 福島市で「聴く会」

 東京電力の福島第一・第二原子力発電所全10基が停止している問題を踏まえ、福島県は3日、福島市内の杉妻会館で「県民の意見を聴く会」を開催した(=写真)。県内各界各層の代表11名が、安全・安心の確保に向けた国や東電の取り組みなどについて、それぞれの立場から様々な意見を発言(2面に詳報)。また運転再開問題とは別に、国の原子力政策の再検討を求める意見や、原子力安全・保安院の独立を求める意見も多く出された。終了後、佐藤栄佐久知事は記者団からの質問に対し、「これで(運転再開に向けた議論は)最終段階に入った」「(今日出された意見を)今後庁内で詰めて行きたい」との認識を示したが、具体的な最終判断期日については「まだ決めていない」と、明言を避けた。

 3回目の開催となる「県民の意見を聴く会」だが、今回は、昨年8月に発覚した一連の東電自主点検不正問題以降の、国や事業者の対応等により安全・安心の確保がなされたか否か、また運転再開の是非について、佐藤知事が意見を聴くことを主目的に開かれた。

 冒頭、佐藤知事は一連の問題発覚後の東電について、「非常に愚直に取り組んでいる一方、そうでない所もあったようで残念だ」と述べるとともに、自民党五役との懇談会の場において、核燃料サイクルを始めとする国の原子力政策を俎上にあげることが出来たことは第一歩だった」と挨拶。引き続き、立地自治体首長、県議、主婦などからなる男性4名、女性7名の代表者11名が意見を述べた。

 意見陳述の後、佐藤知事は「今回出された意見を受け止める」とするとともに、今後どう進めるかについては「総合的に判断したい」と述べ、会を締めくくった。


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