[原子力産業新聞] 2003年8月7日 第2197号 <1面>

[広島市] 56回目の「原爆の日」

 56回目の「原爆の日」を迎え広島では6日、午前8時から平和記念公園で、小泉首相が出席して「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」が開かれた。

 秋葉忠利・広島市長は「平和宣言」の中で、被爆者が訴え続けてきた核兵器や戦争のない世界が遠ざかったとし、「至る所に暗雲が垂れこめ、今にもそれがきのこ雲に変り、黒い雨が降り出しそうな気配さえある」と述べた。この理由として、核不拡散条約体制が崩壊の危機に瀕していること、また、米国が核兵器先制使用の可能性を明言し「核兵器は神」と奉ずる政策を採っていることを指摘。同市長は、「力の支配」は闇、「法の支配」は光とし、「報復」という「闇」に対して「和解」の精神で、人類の行く手を照らすよう提案した。

 秋葉市長は、核不拡散体制強化のため、緊急行動を提案。2005年のNPT再検討会議に世界から多くの都市の代表が集まり、「核兵器禁止条約」締結に向け、働きかけると述べた。

 続いて、広島市内の小学校6年生2人が「平和への誓い」を朗読、峠三吉の「ちちをかえせ ははをかえせ」の詩を引用。世界には今も、大量の核兵器が蓄えられており、「正義」の名のもとに、戦争や紛争がくり返され、子どもたちが傷ついているとして、相手を思いやる心、寛大さ、相互理解により、「暴力ではなく対話」を進めるよう呼びかけた。

 このあと挨拶に立った小泉首相は、平和憲法と非核三原則を堅持し、国際社会の先頭に立って各国政府に、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期批准を働きかけ、核軍縮・核不拡散と核兵器の廃絶に全力で取り組むと述べた。


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