[原子力産業新聞] 2003年8月21日 第2198号 <3面>

[米国]東部大停電、原子力9基が停止

 14日午後4時(現地時間)に米国東海岸で起こった大規模停電は、ニューヨーク州からオハイオ州やミシガン州の一部、さらにはカナダのオンタリオ州など9300平方キロメートルで、約6200万キロワットの供給力が失われ、5000万人以上に影響を及ぼした。この停電のさい、ニューヨーク州のインディアンポイント原子力発電所2、3号機(=写真)など、米国東部の9基の原子力発電所が停止(=表参照)、火力発電所も含めると21の発電所が停止した。

 ブッシュ米大統領とカナダのクレティエン首相は、停電の原因解明と再発防止のため、米加共同タスクフォースを設置することで合意、米国のエイブラハムエネルギー省(DOE)長官とカナダのダリワル天然資源相が共同議長を務め、20日にデトロイト市で初会合を持つことが決まった。初会合では共同タスクフォースの立ち上げと、今後のワークプランの作成が行われる予定。

 オハイオ州クリーブランド近郊での送電線事故に端を発したといわれる今回の大停電では、午後4時11分頃から数分間のうちに、ニューヨーク州、ニュージャージー州、オハイオ州、ミシガン州にある9基・825万9000キロワットの原子力発電所が、次々に自動停止した。これは、この地域の送電網が不安定になったり失われたため、原子炉とタービンの保護回路が作動、原子炉が自動停止したもの。

 外部電源を喪失しなかったオイスタークリーク以外の原子力発電所では、最も低い緊急事態である「異常事象」を宣言。米原子力規制委員会(NRC)は、本部と地域事務所に「事故対応センター」を設け、これらの九基にNRCの検査官を派遣、停止したプラントの監視にあたった。

 16日午前10時には、北米電力信頼度協議会(NERC)のゲント理事長が、発電容量不足のため輪番停電が続いている一部地域を除き、停電の終息を宣言した。また、17日中にインディアンポイント2、3号機が運転を再開。ゲント理事長によると、他の原子力と火力発電所も、18日の週始めに運転を再開する予定としている。


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