[原子力産業新聞] 2003年8月21日 第2198号 <4面>

[原子力安全・保安院] 第1回検査結果発表

 経済産業省原子力安全・保安院は7日、今年度の第1回保安検査結果を発表した。

 原子炉等規制法に基づき実施されるもので、実用発電用原子炉設置者およびその従業者が守らなければならない保安規定の順守状況について、16原子力発電所を対象に、全国の原子力保安検査官事務所に駐在している原子力保安検査官などが、原子炉等規制法に基づく立ち入り、物品検査、関係者質問などといった検査に併せて、運転管理状況の記録確認、施設の巡視や定期自主検査への立ち会いなどを実施した。

 その結果、東京電力の福島第二・3号機の第12回定期検査中に実施した燃料装荷作業において、「制御棒挿入途中で操作員の1人が交代したことが発端となり、1個のセルに制御棒が未挿入のまま燃料が装荷された」という保安規定に違反する事項が認められたため、保安院では事業者に対して厳重に注意するとともに、この件に関しては「保安規定に規定された要求事項を満足していることを確認する方法が手順書において不十分であり、社内的にも統一されていない点も見受けられることから、違反が発生した原因の究明および本件違反に対する再発防止対策を報告すること」を、文書により指導した。なお、これについて東電では、「厳しい評価結果を真摯に受け止め、再発防止に取り組んでいく」としている。

 一方、その他の原子力発電所については保安規定に違反する事項は認められず、また検査期間中に実施した運転管理状況の記録確認その他においても「特に問題がなかったことを確認した」としているが、記録管理や運転管理などに係わる品質向上の観点から一層の改善が望まれる事項については、保安院の「気付き事項として、随時各原子力発電所に指導した」としている。


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