[原子力産業新聞] 2003年8月28日 第2199号 <2面>

[四国電力] 伊方3、炉出力を一時落とす

 四国電力は8日、通常運転中の同社の伊方発電所3号機(PWR、89万キロワット)(=写真)において、6日18時25分、定期的に実施している炉内出力分布測定により、燃料1体の最上部で出力評価値(測定された中性子の数から一定の計算諸元を用いて出力を評価)が制限値を約1%超えていることが確認されたため、伊方発電所原子炉施設保安規定に基づき、原子炉出力を2%降下したことを明らかにした。

 原因について四電では、「運転中の炉心最上部周辺には、炉心から放出された中性子が炉心の周りにある水により反射されて集まっており、その中性子群が影響したものと考えられる」としており、このような炉心最上部周辺に中性子が集まる傾向は、一般的に燃焼が進むにつれて顕著に見られるもので、燃料の健全性に問題はないとしている。

 また、炉心上部の出力評価の方法について再検討し、定期検査直後の諸元に基づき評価していたこれまでの方法から、ウラン燃料の燃焼の進み具合に応じた諸元に置き換えて、出力降下前の出力評価値について再評価を行った結果、制限値を下回っていたことが確認されたとしている。

 これらのことから四電では、今後は炉心上部の出力評価にあたっては、当該ウラン燃料の燃焼の進み具合に応じた諸元に基づき行うこととすることを決定。また今回については、再度出力分布を測定したうえで、元の出力に復帰する方針だ。

 なお今回の事象は、国の法律・通達に基づく報告事象に該当するものではなく、環境への放射能の影響はなかった。


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