[原子力産業新聞] 2003年9月4日 第2200号 <1面>

[資源エネルギー庁] 自治体から意見聴く

 資源エネルギー庁は1日、東京・千代田区のKKRホテル東京で、総合資源エネルギー調査会基本計画部会(茅陽一部会長)の第6回会合を開催、橋本昌・茨城県知事や河瀬一冶・敦賀市長など地方自治体から、同部会が7月25日にまとめた「エネルギー基本計画案」に対する意見を聞いた。これは、全国知事会が8月7日、同計画案に対する「緊急要望」を発表、地方の声を聞くよう求めたことなどを受けたもの。橋本知事は、今会合から同部会の委員にも就任した。

 橋本知事は全国知事会エネルギー対策特別委員長として、「緊急要望」について説明、エネルギー基本計画案が示す、安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用の三原則のうち、環境適合より先に「安全」がなければならないと述べ、同計画に安全の章を作るよう求めた。また、計画の策定プロセスについて、原子力立地地点との対話や国会での議決など、十分な情報公開と丹念な審議を求めた。一方、同計画が強く打ち出している核燃料サイクルについては、プルトニウム・バランスや経済性に疑問が持たれる状況で、その推進や「経済措置」を強く打ち出すべきか疑問を示した。

 現在の規制体制について、「福島県では、原子力安全・保安院が『安全宣言』を出しても県民は納得しない」と、保安院への不信感の大きさを指摘、推進と規制を国民にわかりやすく分離してほしいと述べた。

 続いて敦賀市の河瀬市長は全国原子力発電所所在地市町村協議会会長として発言、東電の不正事件を原子力の基本を揺るがす大問題とし、「電力事業者が根本的な部分で、原子力にブレーキをかける行為をしている」と指摘。同基本計画に盛り込まれた施策が抽象的で具体策が見えにくいと指摘する一方、敦賀市としては、国の政策に協力しながら地域の発展を目指すと述べ、「原子力があってよかった」と言われる環境作りを行っていきたいと述べた。

 資源エネルギー庁は、二百数十件のパブリックコメントや地方公聴会での意見等を同基本計画案に取り入れ、基本計画部会を9月24日と10月1日に開催、最終案を固め、閣議決定と国会報告を行う意向。


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