[原子力産業新聞] 2003年9月4日 第2200号 <3面>

[FNCA] マレーシアで電子線利用WS

 マレーシアで8月18日〜22日、同国の原子力技術研究所(MINT)と日本の文部科学省は、「電子線利用」ワークショップを共催した。これは、アジア原子力フォーラム(FNCA)の一環として行われたもので、FNCAの中で唯一の放射線工業利用分野である「低エネルギー電子加速器の利用技術の開発」を目的とする。

 原子力利用を所管するロウ科学技術・環境大臣(=写真中央)はFNCAの成果を高く評価、マレーシア政府が「一層積極的役割を果たす」と語った。

 今回はマレーシアの重要な産品「サゴ澱粉」を電子線で加工し「創傷・火傷被覆材」のフィルムを合成するデモンストレーションを実施し好評を呼んだ。

 フィリピンは海藻から取れるカラギーナンを電子線架橋したハイドロゲルを火傷用被覆材として臨床試験中。ベトナムでは甲殻類から抽出したキトサンを照射して製造する「植物成長促進剤」の商業化を実現、タイでも商業化が近い。このように「天然高分子」の付加価値を高める研究が活発である。現在、電子加速器がない、タイ、フィリピン、ベトナムの各原子力研究所も、設置計画を政府に提案中で、実現が期待される。

(町末男・原産常務理事)


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