[原子力産業新聞] 2003年9月25日 第2203号 <3面>

[IAEA] 総会が決議 北朝鮮に核開発中止を要求

 国際原子力機関(IAEA)の第47回通常総会が、15〜19日までウィーンの国際会議場オーストリア・センターで開かれ(=写真)、イランや北朝鮮の核開発問題など議論が行われ、最終日の19日には北朝鮮に核兵器開発の全面中止を求める決議案などが採択された。今総会では、日本の高須幸雄・ウィーン代表部大使が議長に選ばれ、5日間の議事を指揮した。

 総会冒頭では、オーストリアを演奏旅行中のモスクワ工科大学男性コーラスが合唱を披露、会議のオープニングに華を添えた。

 総括演説に立ったエルバラダイ事務局長は、核不拡散枠組みの強化が今日ほど重要になったことはないとし、核不拡散条約(NPT)加盟国のうち「四十七か国が包括的保障措置協定を結んでおらず、また150か国以上が追加議定書に加盟していない」と述べて、全加盟国がこれらを締結することが「差し迫った優先事項」とした。

 北朝鮮の核開発問題についてエルバラダイ事務局長は、「核不拡散体制に深刻で現実の脅威を与えている」とし、対話を続けるとともに、同国が核不拡散体制に戻るような解決を求めた。

 日本政府を代表して細田博之・科学技術政策担当大臣(当時)が演説、冒頭で北朝鮮問題を取り上げ、「北朝鮮が核兵器を開発、取得あるいは保有、実験、移転することは到底受け入れることはできない」と明言、同国が核開発計画を完全、検証可能かつ不可逆な形で廃棄するよう強く求め、IAEAによる検証活動を積極的に支援すると述べた。

 エイブラハム・米エネルギー省(DOE)長官は、いくつかの国が核兵器獲得へ動いているとし、「我々は、協力と強いリーダーシップにより、世界中で核拡散と戦い、安全性とセキュリティを強化できる」と述べた。

 同長官は、ちょうど50年前のアイゼンハワー米大統領による「アトムズ・フォー・ピース」演説を「歴史的なイニシアティブ」とし、この50年間に世界中で原子力平和利用から「膨大な利益を得てきた」と総括しつつも、原子力利用におけるセキュリティの強化を訴えた。同長官はまた、保障措置追加議定書が批准のために米上院に送付され、まもなく公聴会が開かれる予定だと述べた。

 北朝鮮問題について同長官は「北朝鮮はNPT加盟国でありながら、そもそも、なぜ核開発を進めることができたのか」とし、再発防止のため「一連の出来事から学ばねばならない」と述べた。先週、IAEA理事会がイランに対して取った行動を高く評価、「国際社会が核不拡散枠組みの風化を許さないと明らかなメッセージを送った」と述べた。


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