[原子力産業新聞] 2003年9月25日 第2203号 <4面>

[旭エンジニアリング] ロボットで補修まで実施

 旭エンジニアリングはこのほど、タンク、圧力容器などの腐食状態を高速検査ロボットにより検査・診断・補修までを一貫して行うサービスを開始した。

 このサービスは、同社が新日本非破壊検査と共同開発した圧力容器高速全面検査ロボット「S−MAP」(=写真)の実用化により実現したもの。近年、増加傾向にあるタンク・圧力容器などの経年劣化による事故の防止対策に貢献できる。初年度2億円、5年後には年間30億円の売り上げを目指している。

 「S−MAP」は、強力マグネットと特殊ゴムタイヤにより圧力容器壁面に吸着できる自走ロボットに複数の高感度超音波センサーからなる超音波探傷部を搭載し、高精細、高速サンプリングを行う。探傷速度は毎秒100ミリメートルと高速で、下鏡(容積3.14立方メートル)のみの検査が八時間、容器全面(直径2メートル・容積20立方メートル)の場合24時間で検査する。従来方式の手作業と比べ、検査時間を約半分に短縮できるという。さらに、同社の非破壊検査総合管技術者によって、診断データの評価、有限要素法による解析、評価サービスに加えて、検査後の補修サービスを直ちに実施。高品質、経済的なサービスを総合的に提供する。

 

 圧力容器の検査は、これまで人手に頼っている部分が多く、検査員の技量に左右されることから検査の公平さと再現性に乏しい面があった。これに対し、同サービスは、圧力容器内のジャケット、保温材などで母材の外観検査ができないものを対象としており、クラッド鋼やグラスライニング上から正確に板厚計測および探傷検査ができるのを特長としている。


Copyright (C) 2003 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.