[原子力産業新聞] 2003年10月16日 第2206号 <1面> |
[原子力委、資料情報室、原水禁] 青森で公開討論会原子力委員会は、11日午後、青森市の青森グランドホテルで、原子力資料情報室と原水爆禁止日本国民会議との共催で、「再処理と核燃料サイクル政策を考える」をテーマに公開討論会を開催、約420名が参加した。原子力委員会からは遠藤哲也委員長代理、木元教子、竹内哲夫、森嶌昭夫の各委員および近藤駿介参与が参加、原子力資料情報室・原水爆禁止日本国民会議からは、西尾漠氏(資料情報室共同代表)、浅石絋爾氏(弁護士)、長谷川公一氏(東北大大学院文学研究科教授)、小木曽美和子氏(原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)らが参加した。 冒頭、森嶌原子力委員が、日本の核燃料サイクル政策について、エネルギー源の有効利用、安全保障、および高レベル廃棄物の減量等の観点から、再処理の必要性を説明、続いてパネル討論に入った。 市民団体からは、「六ヶ所再処理工場は16兆円、一説には20兆円プロジェクト」、「プルサーマルはストップし、FBR開発も挫折した」、「英国ではTHORP施設が閉鎖される。六ヶ所工場の場合、経済的根拠があるか」、「当面必要ないプルトニウム生産は軍事目的では」等の疑問を示し、再処理事業は即時中止し、政策を見直すべきだと主張した。 これに対して、原子力委員会側は、「長期計画は民主的プロセスで決定されたもの。原子力委員会の独走ではない。核不拡散、平和利用、保障措置の重視で、軍事転用はあり得ない」として、「エネルギー確保の観点から、現時点ではプルサーマルを前提に再処理を進める」と反論した。 一方、長谷川教授は、「ドイツでは脱原子力政策で再処理事業が法律で禁止された。また米マサチューセッツ工科大学(MIT)の報告書はMOX燃料に否定的」とし、「日本でも、使用済み燃料の全量再処理は電力会社にとっても過大な負担ではないか」と指摘した。これに対し、遠藤委員長代理が「日本は、国際的な電力融通が可能なドイツと国情が異なる」とし、近藤参与がMIT報告書に対するフランス原子力庁(CEA)の反論コメントを紹介した。 一方、原子力委員会側から、西尾氏の持論の「低エネルギー社会」の定義について質問が出されたが、同氏は「限りなくエネルギー消費が小さい社会」と答えるのに留まった。 後半は会場からの意見を聴く会で、「再処理工場の運転は当分待つべきではないか」、「核燃料サイクルについて官民の責任分担をどうするか」、「トラブル隠しをどう防ぐか」、「高レベル廃棄物の最終処分場は見つかるか」等の質問が出され、活発な意見交換を行った。 |