[原子力産業新聞] 2003年10月23日 第2207号 <1面>

[資源エネルギー調検討小委] バックエンドと原子力発電、コスト構造・収益性分析

 経済産業省の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会のもとに新たに設けられた「コスト等検討小委員会(委員長=近藤駿介東大大学院教授)」は、21日、初会合を開き(=写真)、小委員会の目的や今後の審議スケジュールを確認するとともに、電気事業者から核燃料サイクル・バックエンド事業の概要、想定スケジュール、コスト見積もり方法等について説明を聞いた。同小委員会は今年末までにバックエンドのコスト構造と原子力発電の収益性を分析・評価、電気事業分科会に報告する予定だ。

 コスト等検討小委員会は、9月26日の電気事業分科会で、「バックエンド事業全般のコスト構造と原子力発電全体の収益性等を分析・評価」する場として設立が決まった。同小委員会は公開で開かれ、関心の高さを反映してか、21日の初会合には150名以上が傍聴に詰めかけた。

 会議の冒頭で近藤委員長は、「最新の知見をもってコストを整理・分析、他の電源と比較し、未来のコストの考え方などを議論したい」と挨拶、今年末の分科会への報告を目指し、週1回のペースで審議したいと述べた。

 初会合では電気事業連合会から説明員として、東京電力の佐竹誠取締役と中部電力の伊藤隆彦常務取締役がバックエンドコストに関する説明を行った。伊藤常務は、バックエンド事業では「費用の発生時期が発電時点よりもはるかに遅れる」との特徴があり、これまで回収されていない費用が、電力小売り自由化拡大での大きな経営課題になっていると述べた。

 このうえで、バックエンド事業の見積もりでは、左上表の9事業について、それぞれの費用項目と見積もりの考え方を示した。また、2005年を基準年とし、今後約80年間にわたるバックエンド事業の想定スケジュールを示した。

 続いて東電の佐竹取締役が、バックエンドコスト見積もり方法での留意事項を説明、費用は各事業ごとの想定スケジュールに基づき、各年度の必要経費を積み上げて積算、同時にこれを2005年4月1日の現在価値に換算した額も示す。このうえで、原子力発電コストへの影響度を示すため、キロワット時あたりの単価も算出するとしている。佐竹氏は、費用見積もりでの不確定要素として、@TRU廃棄物など、規制基準が未整備の事業A実施方法の合理化によるコスト削減の可能性B将来の技術開発による効率化の可能性――などに触れ、@、Aについてはコストへの影響を別途試算するとし、Bについては現時点の最新技術により見積もると述べた。

 委員からは、コスト算出では支払利息と割引率の扱いが重要との指摘や、費用積み上げ方式ではコスト削減へのインセンティブが働かないので、コスト削減の仕組みを考える必要があるなどの意見が出された。


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