[原子力産業新聞] 2003年10月23日 第2207号 <1面>

[シリーズ] マニフェストを読む(上)

 今月10日、衆議院が解散され、来月9日の投票日に向けて事実上の選挙戦に入った。これまでに発表された各党の政策綱領、マニフェスト、重点施策等の文書から、エネルギー政策と原子力発電・核燃料サイクルの位置付け、原子力安全、地球環境問題への取組み等についてシリーズでお伝えする。

 自民党は政策綱領で、原子力を「基幹エネルギー」と位置づけ、重点施策では「電源立地等の支援対象を、安定的でかつ地球環境負荷が非常に低い原子力を始めとした長期固定電源に重点化」、「核燃料サイクルの確立は、わが国原子力政策の基本」とし、「エネルギー基本計画」と同一歩調。

 民主党は、原子力は「過渡的エネルギー」との扱いで、原子力安全規制の強化が主。エネルギー開発では、「風力、太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギー等の再生可能エネルギーや、燃料電池等を中心」。新エネルギー予算を現行の年間1500億円から3000億円へと倍増とするが、エネルギー政策としては、食い足りない内容だ。

 公明党のマニフェストは、エネルギー政策について、「家庭のクリーンエネルギーを飛躍的に普及させ、家庭用の燃料電池、太陽光発電、低公害車など、再生可能な新エネルギーを拡充して温暖化防止を進める」との表記のみで、原子力に関する記述はない。

 日本共産党は、「危険な『原発だのみ』をやめ、地域の自然エネルギー開発など、安全なエネルギー供給をめざす」立場から、@プルトニウムリサイクル計画の中止Aプルサーマルの中止B既存原子力発電所の計画的縮小――など。

 「脱原発の推進」を掲げる社民党は、「国の方針として脱原発を推進していくことを明確にし、エネルギー基本計画を根本から改訂」、「プルサーマルや再処理などプルトニウム利用計画は直ちに中止」の方針。

 保守新党は、核燃料サイクルの確立と原子力の活用などを主張している。(続く)


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