[原子力産業新聞] 2003年11月20日 第2211号 <3面> |
[米・DOE] ITERを最優先米エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官は10日、ワシントンのナショナル・プレスクラブで講演し、今後20年間にわたるDOEの科学研究施設整備計画を発表、国際熱核融合実験炉(ITER)をトップ・プライオリティに取り上げた。今年1月30日、4年半ぶりに復帰した米国がITERに力を入れていることが浮き彫りになった。 エイブラハム長官は、12施設(=表)を「近未来のプライオリティ」に掲げ、「我々のリストのトップは核融合だ」と述べた。「ITERはブッシュ大統領の優先事項」とし、米国がこの国際的な核融合実験に加わることにより、「限りないクリーンエネルギーへの見通しが開ける」と強調した。 第2位は「ウルトラスケール科学用コンピュータ」。「日本の地球シミュレータの20倍の速度」を目標とし、さらに「100倍の速度のコンピュータのアーキテクチャを作ることができる」と強調した。12施設の中には、天然に存在しない超ウラン元素を製造・研究する「レア・アイソトープ加速器」なども入っており、エイブラハム長官は「DOEの核物理計画にとって重要な位置を占める」と述べている。 「中期的なプライオリティ」には、核破砕中性子源(SNS)やリニア・コライダなど6施設が挙げられ、また、「長期的プライオリティ」には、「スーパー・ニュートリノ・ビーム」や、発電用核融合研究、オークリッジ国立研究所にある高中性子束アイソトープ炉(HFIR)に冷中性子源の設置などが挙げられている。 今回の科学研究施設整備計画については、DOEの科学局は最初46施設をリストアップ、これを分野別に6つの諮問委員会が、科学的な重要性と建設準備の状況の見地から検討、53施設を勧告した。これを最終的にオーバック科学局長が28施設に絞り込み、優先順位付けを行った。 |