[原子力産業新聞] 2003年11月20日 第2211号 <4面> |
[原環センター] 研究発表会原子力環境整備促進・資金管理センターは、5日、東京都港区赤坂の三会堂ビルで研究発表会を開催し、米国のリスク・コンセプト社社長ハーバート・インハーバー氏(=写真)が「NIMBY問題の解決方法」について特別講演を行った。原子力関係者約200名が参加し、熱心に聴講した。 「NIMBY」とは、「迷惑施設」の必要性を認めつつも、自分の家の近所には建てないでほしいとの住民感情。同氏は、まず日米の放射性廃棄物処分場立地の歴史を振り返り、「科学的アプローチ」のみを優先して立地点を絞り込む立地手続きは不十分であり、自治体による自主的な誘致の意向が重要と訴えた。日本の立地問題に関しては、高レベル放射性廃棄物処分問題を次世代に先送りしないと決めたこと、環境整備機構が公募により最終処分場の立地候補地を決めようとしていることを高く評価した。 さらに同氏は、理想的な立地点選定方法として、持論である「オランダ式逆オークション」を紹介し、日本の高レベル廃棄物処分場の選定プロセスを検証した。「オランダ式オークション」は、売り手側が高い売値から少しずつ売値を下げ、最初の応札があった時点で落札するもので、「オランダ式逆オークション」のとは、マイナスの価値を持つものを引き取ってもらうための見返り補償額を低い補償額から少しずつ増額し、最初に補償に応じる者が出た時点で取引が成立するというもの。 同氏によると、環境整備機構が採用した高レベル放射性廃棄物最終処分場の立地手続きである「公募を通じて自治体に誘致の決定をゆだねていること」、さらに最近、電源三法交付金制度の改正により交付金使途が拡大、「交付金の使途を誘致自治体が選択できる余地が拡大したこと」などは、「オランダ式逆オークション」のプロセスと似通っており、同オークションの利点を取り込んでいるとのこと。そして、日本の立地政策は諸外国と比べて良好なプロセスを進んでおり、今後も変更すべきではないとの結論を述べた。
インハーバー氏は、リスク評価の専門家で、環境、エネルギー、経済、社会工学などの分野で活躍中。 |