[原子力産業新聞] 2003年11月27日 第2212号 <2面> |
[OECD/IEA] 世界のエネルギー関連投資を展望経済協力開発機構(OECD)・国際エネルギー機関(IEA)は、4日、2030年までの世界のエネルギー投資問題を調査分析した『世界エネルギー投資展望』を発表した。同機関の2002年版『世界エネルギー展望』に基づくもので、初の試みである。 投資展望によると、2001年から30年までの世界のエネルギー供給インフラ整備に必要な投資総額は16兆ドルに達し、絶対額では巨額であるが、世界のGDPの約1%に過ぎないという。この推計は、エネルギー需要が毎年1.7%のペースで増加し、世界のエネルギー市場が今後30年間に66%成長するとの予測に基づいている。 投資の主流を占めるのは電力部門であり、エネルギー総投資額の60%にあたる約10兆ドルが発電および送配電に向けられ、発電所への燃料供給分野への投資までを含めると70%にのぼるという。石油とガス部門への投資額はそれぞれ3兆ドル以上(約19%)で、石炭はわずか4000億ドルとのこと。OECD諸国では、再生可能エネルギーを使用する発電所が、発電所新設投資のほぼ3分の1を占める。 地域別には、日本・オーストラリア、ニュージーランドの3か国の電力への投資需要総額は、6000億ドルで、大半は日本が占める。しかし、不況等の影響で1990年代半ばから日本の電力投資は逓減しており、2001年の投資額は94年の約半分に過ぎない。今後の投資見通しは、原子力発電所の建設計画に左右される。建設される原子力発電所の少ない場合は、石炭または天然ガス発電所の建設へシフトし、投資需要総額は減少する可能性がある。しかし、輸入エネルギー源への依存度が高まるとともに、京都議定書で合意された温室効果ガス削減目標を達成することが困難になるという。 |