[原子力産業新聞] 2003年11月27日 第2212号 <3面>

[シリーズ] 韓国の廃棄物管理事業(下)

 前号に引き続き、韓国・蝟島(ウィド)における中低レベル放射性廃棄物処分場と使用済み燃料中間貯蔵施設の立地と、韓国の放射性廃棄物管理の状況を、データを中心に紹介する。

管理施設敷地選定の現況

全羅北道扶安郡蝟島の概要
▽人口 1575人(706世帯)
▽面積 14.14平方キロメートル
▽位置 蝟島は内陸の港(ゲッポ港)から14キロメートル、定期旅客船で40分(=右下地図参照)。
▽島の構成 6つの有人島、24の無人島、11の村がある
▽教育 高等学校、中学校、小学校各1校
▽特産物 片口鰯、蝦、にんにくなど
▽全羅北道扶安郡は朝鮮半島の西南の沿岸地域。面積は492平方キロメートル、人口は7万6072人

敷地選定委員会の評価結果

▽国は廃棄物管理施設の最終敷地選定のため、各分野の専門家から成る敷地選定委員会を構成
・学者、科学者、言論人、政府関係者など14名
▽委員会は現場調査、候補敷地に関する1次検討報告書の精密な検討、詳細討論を通じて扶安郡蝟島が放射性廃棄物管理施設敷地として適合すると総合評価
・敷地の地質と自然環境条件は全体的に優秀で、活断層も存在しない。人文・社会環境も優秀以上と評価
・事業推進環境の面では、投資効率性、港湾設備の用意、輸送面などが優良で、全般的に事業を推進するための好条件を備えると評価

最近の動き

▽扶安郡蝟島を管理施設敷地と選定したことに対して、多くの蝟島住民は賛成。しかし、扶安郡内陸部の住民から事前に十分意見を聞いておらず、知事一人で誘致を決めた事を不満として、各種のデモが噴出
▽扶安郡住民は原子力と放射線への理解不足のため、安全性を心配。農民会、環境団体などが中心の扶安郡内陸地域の反対派は、蝟島には安全性に問題があり、敷地として適当でないと主張している
▽国は、廃棄物管理事業を法的手続きに従い推進する方針。政府横断的な対策を講ずるなど、地域住民に継続した広報活動と説得を行い、17年間漂流してきたこの国策事業を結実させる方針

今後の推進日程

▽精密地質調査、環境特性など、細部調査実施(2003年8月以降)
▽電源開発事業予定区域指定告示(2004年7月)
▽土地買収および実施計画承認など各種の認許可取得
▽中低レベル処分施設建設工事開始(2005年)
▽中低レベル処分施設完成(2008年)
▽使用済み燃料中間貯蔵施設完成(2016年)

世論の状況

▽廃棄物管理施設建設への賛否
全羅北道 賛成68.6%、反対23.7%
扶安郡 賛成30%、反対59.7%
▽反対の理由
施設の危険性 71.6%
政府の約束への不信 12.4%
周辺の反対に影響されて 6.1%


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