[原子力産業新聞] 2003年12月4日 第2213号 <2面>

[原子力安全・保安院] 検査官の「心得」など制定

 10月に施行された新検査制度の趣旨を踏まえ、原子力安全・保安院はこのほど、検査官が検査を行う際に規範とすべき「検査官心得」(12月1日付け)および、特別検査指導官による検査官指導体制の整備と、検査の具体的な実施要領を記した「実用発電用原子炉及びその附属設備に係る定期検査執務要領」(11月14日付け)を制定した。

 「制度改正の趣旨を十分に踏まえた的確な検査を行っていくことが重要」との認識の下、制定されたもので、具体的に内容を見ると、検査官心得については「新たな検査制度に関する要請に応えることができるか否かは、一に検査官の取組姿勢に係っていると言っても過言ではない」との見地から、「事業者も納得する深みのある検査は、検査官各人の人格、識見の上に実現するもの」として、施設の検査に際しての検査官各人の取組姿勢を提示している。

 制定に当たっては、保安院が発足当初、組織としての行動規範として掲げた「強い使命感」、「科学的・合理的な判断」、「業務執行の透明性」、「中立性・公正性」の4点が、「検査官の行動規範としても基本となるもの」と判断。これら行動規範に則した記述がなされている。

 保安院では、同心得を全検査官に配布するとともに、更にこれをベースとして、来年1月より同院のシニア検査官の中から、院長が指名する「特別検査指導官」(6名)が、検査官に対する現地指導や検査官・事業者とのコミュニケーション支援を行う取組を開始する。

 一方、新たな検査制度の下、本質的で透明性の高い検査を行うことをねらい制定された「定期検査執務要項」は、@定検の実施時期A対象B方法C体制D立会・記録確認における着眼点E成績書――について、詳細に明記。

 保安院ではこれらの取組の徹底を図り、原子力安全規制の質的向上や国民からの信頼の確保に努めていく方針だ。


Copyright (C) 2003 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.