[原子力産業新聞] 2003年12月11日 第2214号 <2面> |
[原産] 日台原子力安全セミナー開く第18回日台原子力安全セミナーが、10、11日の両日、東京・港区のアジュール竹芝で開かれた。同セミナーは、日本原子力産業会議が台湾の中華核能学会および亜太科学技術協会との共催で開いているもの。台湾側からは欧陽敏盛・原子能委員会委員長(大臣)を団長とする27名の代表団が参加、日本側からは斎藤恒夫・東北電力常務取締役を委員長とする準備委員会をはじめ、約100名が参加した。 歓迎の挨拶で斎藤準備委員長は、「日本と台湾はともに島国で、エネルギーに関する状況が近い」として、両国の専門家が意見交換する意義を強調。一方、欧陽委員長(=写真)は、前日、柏崎刈羽原子力発電所を訪問し「強い印象を得た。我々が学ぶべき手本と感じた」との感想を述べ、管理・運転の良さを賞賛した。 「台湾の原子力利用と規制の現状」と題して特別講演を行った欧陽原子能委員長は、「台湾のエネルギー源の97%は輸入」とし、台湾の「脱原子力政策」が、第四(龍門)原子力発電所の建設に影響を与えるべきではないとの考えを示した。民進党が政権を取って以来、台湾ではこの2年間で、放射線防護法、放射性物質管理法、原子炉施設管理法などの原子力関連法の整備が進み、さらに原子力事故緊急時対応法と低レベル廃棄物処分場選定条例が国会で審議中、本年末までに通過する見込みだと述べた。 台湾の原子力発電所の状況については、2002年の設備利用率が八七%と、米国の平均利用率に近くなったとし、昨年の予定外スクラムはゼロ、低レベル放射性廃棄物発生量についても、廃棄物管理の向上と処理・固化技術の進歩から、最も多かった70年代初期の1%程度にまで減少したと強調した。 ABWRを建設中の龍門原子力発電所では、基礎部分の溶接等に手抜き工事が見つかったことから、原子能委員会は検査官を常駐させて検査を強化、工事をやり直させるとともに、柏崎刈羽6・7号機での経験を持つ日本の発電設備技術検査協会や米原子力規制委員会(NRC)の専門家の支援を受けていると述べた。 |