[原子力産業新聞] 2003年12月18日 第2215号 <1面> |
[総合資源エネ調] コスト等検討小委、原子力が最安価5.6円核燃料サイクル・バックエンドコストと原子力発電の収益性を検討しているコスト等検討小委員会(近藤駿介委員長)は16日、原子力、火力、水力等の各電源の発電コスト比較について電気事業連合会から試算結果の報告を受け、議論を行った。電事連の試算では、2002年度運転開始のモデルプラントで割引率3%、設備利用率80%を想定した場合、運転期間40年間の1キロワット時あたり平均発電コストは、原子力が最も安く5.6円、次いで石炭火力の5.9円、LNG火力6.3円、石油火力10.9円、一般水力13.6円となった(=表参照)。 運転中の原子力発電所と火力発電所の発電コストの実績については、電力各社の有価証券報告書から比較、2000〜2002年度の平均で、原子力が8.3円、火力が10.0円と算定した。 モデルプラントでのコスト計算は、1999年に総合資源エネルギー調査会の原子力部会がコスト比較を行ったさいのモデルを踏襲、40年間運転での試算を行うとともに、運転中のプラントの実コストに近い値である法定耐用年数(火力15年、原子力16年)での試算もあわせて行った。 設備利用率を変動させた場合、発電コストは利用率60%以上で、原子力発電がLNGや石炭火力より安くなり(=図参照)、原子力発電は、利用率向上による競争力の向上が効果的と分かる。 1999年原子力部会試算との比較では、割引率3%、設備利用率80%の場合、原子力は5.9円から5.6円へ下落、石炭火力も6.5円から5.9円へ、LNG火力は6.4円から6.3円へ下落する一方、石油火力は10.2円から10.95円へ上昇している。これは、建設費が原子力でキロワットあたり29.1万円から27.9万円へ減少、石炭火力とLNGもそれぞれ建設費が10%、19%減少する一方、石油価格は2.1倍に上昇した影響による。 |