[原子力産業新聞] 2004年1月6日 第2216号 <12面>

[露・クルチャトフ研究所] ロシアの廃棄物燃焼炉を紹介

 ロシアのクルチャトフ研究所およびその合弁会社EER社は、このほど、都内のホテルで、原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物の燃焼炉について記者会見を行った(=写真)。この燃焼炉は、旧ソ連邦時代の高度軍事技術を平和目的に転用したもので、EER社の日本法人設立に際して記者会見が開催された。

 燃焼炉の基本技術は、旧ソ連邦が米国との宇宙空間での戦争に備えて開発した軍事技術であるPGM(プラズマ・ガス化溶融法)システムで、プラズマトーチが発生する7000度のプラズマジェットで廃棄物内の無機物を溶融させ、ガラス固化体で回収するというもの。すでにロシアでは処理量2トン/日の小型炉で10年の運転経験があり、さらに6トン/日の炉が最近、稼働を始めた。両方とも、低・中レベル放射性廃棄物を商業的に処理している。また、燃焼炉は都市の固体ゴミの焼却にも有効とのこと。

 炉のメリットとしては、@容積で25分の1、重量で10分の1に廃棄物を減量できるので、処理コストが削減できるA残灰の2次処理が不要B副生成ガスを使った発電機が組み込まれているため、運転費が安上がりCゴミの分別が不要なため効率的Dダイオキシンを低減できる−−等が挙げらている。

 EER社は、クルチャトフ研究所とイスラエルのSFKグループが設立した合弁会社で、低レベル放射性廃棄物および医療用廃棄物の処理事業でウクライナ、中国、ヨーロッパ、アジア地域で業務を展開している。


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