[原子力産業新聞] 2004年1月6日 第2216号 <2面>

[東北電力] 新潟県知事に伝達

 【12月24日共同】東北電力は24日午前、仙台市の本社で臨時の取締役会を開き、新潟県巻町に建設を予定していた巻原子力発電所(82.5万キロワット)の建設断念を正式決定した。これを受け幕田圭一社長は同日午後、新潟県の平山征夫知事を訪ね「巻原子力発電所の建設計画の撤回を決めました」と建設断念を伝え、巻町の笹口孝明町長にも同社幹部が伝達した。国の電源開発基本計画に組み込まれた原子力発電所の計画中止は初めて。

 会談後、記者会見した幕田社長は「巻原子力発電所の推進に全力を挙げて取り組んできたが、撤回せざるを得ないことになったのは大変厳しい。苦渋の決断だ」と述べた。

 平山知事は報道陣に「30年にわたる推進と反対の(対立の)歴史があったが、土地の取得ができないということを冷静に判断し、撤回を要請した。計画撤回が町政の発展につながればいいと思う」と語った。

 18日の最高裁決定で、原子炉炉心予定地付近の用地取得が事実上不可能となり、幕田社長は計画撤回を示唆。平山知事は「建設が実質的に不可能になった。東北電力は今後の対応を早急に説明してほしい」として、年内決着を求めていた。

 巻原子力発電所は2001年度運用開始を目指していたが、1996年の住民投票で約6割が建設に反対。笹口町長が99年、炉心予定地付近の町有地を反対派住民に売却、凍結状態になっていた。


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