[原子力産業新聞] 2004年1月6日 第2216号 <3面>

[リビアと英・米] 核兵器等放棄で合意 核開発計画認める

 リビア政府は12月19日、核、化学、生物等の大量破壊兵器の開発を行ってきたことを認め、これらと長距離ミサイルを破棄すると発表した。ブッシュ米大統領も19日、ホワイトハウスで記者会見(=写真)、米国と英国がリビアの指導者カダフィ大佐と、大量破壊兵器計画の即時かつ無条件の廃棄で合意したことを明らかにした。英国のブレア首相も、「これは、一国が大量破壊兵器計画を自主的かつ平和裏に中止できることを証明するものだ」と歓迎、リビアとの関係改善に乗り出していく意欲を示した。

 リビア政府の声明によると、リビア側と米英の情報機関が、イラク戦争開始直前の昨年3月から接触、英米側が、体制転覆など「隠された意図」の無いことをリビア側に納得させ、9か月間の秘密理の交渉の末、大量破壊兵器の廃棄で合意に達したもの。

 米英の情報機関の「専門家」がリビアの秘密施設を訪問し、機器の種類や性格を確認、リビアの核・化学兵器開発計画の全容を検討したという。  リビア側は、核兵器等の開発状況を国際原子力機関(IAEA)に報告するとともに、保障措置追加議定書に署名する意志を明らかにしている。また、射程300キロメートル以上のミサイルについても、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)に従い、破棄するとしている。

 ブッシュ大統領は「今回の合意が『静かな外交』を通じて達成された」と強調、イラクへの軍事攻撃が「大量破壊兵器を持つ国家に、間違えようのないメッセージを送った」とし、「このような兵器は影響力や名声をもたらすのではなく、孤立と望ましくない結果をもたらす」と警告した。

 リビアは核不拡散条約(NPT)に加盟、IAEAとの保障措置協定も発効済み。包括的核実験禁止条約(CTBT)には署名しているが未批准。


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