[原子力産業新聞] 2004年1月8日 第2217号 <3面>

[IAEA] リビアの未申告施設を査察

【ウィーン2日共同】国際原子力機関(IAEA)報道官は2日、リビアを訪れた査察団が、同国がこれまでIAEAに未申告だった核関連施設10か所のうち、トリポリにあるウラン濃縮施設など9か所を調べ、1日にウィーンに帰任したことを明らかにした。残りのウラン保管施設については、近く査察する予定。

IAEAは、リビアの大量破壊兵器の廃棄宣言を受け、先月27日に査察団を派遣。エルバラダイ事務局長がリビアの最高指導者カダフィ大佐らと会談したほか、核施設の訪問、科学者などからの事情聴取も行った。カダフィ大佐は、核兵器を含む大量破壊兵器の放棄を自ら確約した。

IAEAでは今後も断続的に査察を継続、3月の理事会までに最終的な結果を報告したいとしている。

ロイター通信によると、査察団は今回のリビア査察で、遠心分離機を設置したウラン濃縮施設を確認。エルバラダイ事務局長はウラン濃縮計画は「初期段階」だったとし、リビアがすぐに核兵器を生産できる状態にはなかったとの見方を示した。

事務局長はリビア側の姿勢を「協力的で率直だった」と評価。「(カダフィ大佐は会談で)国際社会との新たな関係構築や、リビアに対する国際的援助の重要性を強調した」と語った。

また、リビア側はウラン濃縮施設を「(国際的な)闇市場で購入した」と認めたとし、特定の国からウラン濃縮技術を直接輸入した可能性は薄いと見ていることを示唆した。

リビアは抜き打ち査察が可能となる保障措置協定の追加議定書に調印する方針もあらためて表明したという。査察団は重要書類や地図の提出を要求。既に数人の科学者から事情聴取を始め、今後査察に入る施設についてもリビア側と協議している。査察活動は数週間にわたり断続的に続く見通し。


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