[原子力産業新聞] 2004年1月15日 第2218号 <2面> |
[サイクル機構] サイクル確立に向け努力 殿塚理事長が所信表明1月1日付けで核燃料サイクル開発機構の新理事長に就任した殿塚猷一氏(=写真)はこのほど、理事長就任後、初の記者会見を行い、所信を表明した。このなかで殿塚新理事長は、サイクル機構は日本原子力研究所との統合、「もんじゅ」問題への対応等の重要な局面に直面しているが、原子力に対する国民の信頼の回復とともに核燃料サイクルの確立に向けて努力していきたいとの抱負を述べた。 特に、電力業界出身の理事長として、電力業界との協力に触れて、六ヶ所村の再処理工場、濃縮工場への技術協力では、現在、サイクル機構から百数十名のスタッフを派遣、技術の管理、支援を実施しており、技術移転には、技術力を持ったスタッフが実際にいることが重要であり、設計図のみでは実現しないとの考えを示し、この活動は原研との統合後も変わらないとの意欲を表明した。 最大の課題「もんじゅ」問題については、「組織を挙げて『もんじゅ』の安全工事実施に対する地域住民の理解・協力を得るべく活動している。早期に安全工事を開始できるよう市当局ほかの了解を求めて尽力中であり、一日も早く工事を開始したい」と決意を述べた。 さらに、「工事開始は最高裁判断を待つべきでは」との意見に対して、「『もんじゅ』の工学的な安全性については確固とした自信があり、『もんじゅ』安全性調査検討専門委員会」の報告書でも安全性が確認されており、工事によって安全性はさらに高まるが、『もんじゅ』は工学的に安全との立場から推進する」と述べるに止まった。 原研との統合については、2005年度中の統合を目途に、具体的な協議を進めている。独立行政法人となることで、より効率的な研究開発の推進、効率的な組織体制を目指すとの考えを示した。また、両組織の歴史的、文化的な相違点を乗り越え、スタッフおよび施設の共用化、産官学の協力を推進することに努めるとの意向を表明した。統合後の新組織の名称、本部の所在地等については検討中とした。 殿塚猷一(とのづか・ゆういち)氏 1960年慶応義塾大学経済学部卒業、同年中部電力入社、95年中部電力常務取締役、97年電気事業連合会専務理事、2001年永楽自動車取締役社長、03年核燃料サイクル開発機構副理事長。 |