[原子力産業新聞] 2004年1月22日 第2219号 <2面>

[米ウラン濃縮会社] 遠心分離商業施設建設へ

 米ウラン濃縮会社(USEC)は、12日、オハイオ州パイクトンにある同社ポーツマス工場サイト(=写真)に、新たに商業用遠心分離濃縮工場「米国遠心分離施設(アメリカン・セントリフュージ・プラント)」を建設すると発表した。USECのティンバー社長によると、同工場は2009年頃の運開を目指し、当初3500トンSWUの濃縮能力を備えるという。総投資額は約15億ドル(約1600億円)の見込み。

 USECは2001年5月、ガス拡散法のポーツマス濃縮工場の運転を中止、ウラン濃縮をケンタッキー州のパデューカ工場に集約した。その後、ポーツマス工場は「コールド・スタンバイ」の状況に置かれ、除染等が行われてきた。

 今回発表された商業濃縮施設の立地は、2002年12月、ポーツマス工場内に1億5000万ドル(約160億円)をかけ、遠心分離機240基の「リード・カスケード」からなる「遠心分離実証施設」を建設すると発表したことに引き続くもの。実証プラントは2005年頃稼働の予定。

 USECのティンバー社長は、パイクトン、パデューカの両サイトから、商業用濃縮施設誘致の働きかけがあったとし、パイクトンを選んだ理由として、@ポーツマス工場のインフラや建屋が利用できるAパデューカの方が活断層に近く、リスクとコストが高くなるB州と地元から提供される経済的インセンティブが魅力的――等を挙げた。

 商業用濃縮施設に設置される遠心分離機は、USECが米エネルギー省と共同開発してきた「第二世代」のもので、単機の濃縮能力は300キロSWU以上としている。また、遠心分離法はガス拡散法に比べ、二十分の一の電力しか消費しないとし、現在、同社の濃縮ウラン生産費の半分以上が電力費であることから、経済性にも優れていると強調している。

 立地地域との関係についてティンバー社長は、立地を支持する手紙を地元から1万3000通以上受け取ったことを披露。オハイオ州のタフツ知事も「施設の立地は、オハイオ州にとってすばらしいニュースだ」と歓迎、良質の職が新たに創造されることなどに期待を表明し、地元との良好な関係を伺わせた。


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