[原子力産業新聞] 2004年1月29日 第2220号 <2面>

[産構審・総合エネ調] 合同会議スタート

 2030年までのエネルギー環境政策の策定を目指す産業構造審議会・総合資源エネルギー調査会のエネルギー環境合同会議(議長=奥田碩・日本経団連会長)は21日、第1回会合を開催した(=写真)。今後、毎月1回のペースで開催し、今年6月には中間報告を取りまとめる予定。

 席上、中川昭一・経済産業大臣は「エネルギー環境問題は長期戦略が不可欠であり、多方面に亘る議論によって報告書を取りまとめて欲しい」と要請。

 奥田議長は「エネルギーの安定供給のためには長期的で戦略的な施策が必要だが、他方で環境問題という課題がある。多様なバックボーンを有する各委員の活発な議論で実り多いものにしたい」と挨拶した。

 今会合では、経済産業省がエネルギー政策を取り巻く情勢、地球環境問題を巡る動向、長期戦略の論点などを説明。日本エネルギー経済研究所は、国際エネルギー情勢と日本の国家戦略のあり方について、同研究所の考え方を報告した。

 論点の中で原子力関係は、エネルギー供給においてどう位置づけどのような対策を打ち出すべきか、安全安心確保をどう考えるか、などが取り上げられている。また、日本エネルギー経済研究所は国家エネルギー戦略の柱として、国益重視の資源外交の展開、アジアの地域協力の推進とともに技術開発の戦略的取組みの中で新型原子炉、核融合、燃料電池、水素関連などが重要と指摘した。

 委員からも様々な見地からの意見・提言が述べられたが、原子力関係では、「今後のエネルギー需要の伸びから考えて原子力発電所は増大を考えるより、現在の発電所を如何に有効に長期間利用するかを考えるべきである」(河野光雄・内外情報研究会会長)、「長期的なエネルギー供給を考える上で脱炭素の視点が不可欠であり、原子力と水素をエネルギーベースとして考える必要がある。水素は供給が課題だが、その製造についても脱炭素化が重要になる」(茅陽一・地球環境産業技術研究機構副理事長)、「エネルギーセキュリティーの観点から原子力の活用は不可欠であり、原子力発電所の建設も先送りすることなく着実に実行すべきである」(千速晃・日本経団連経済政策委員長)、「今回は30年間の政策の検討だが、ITER計画などはさらに先を目指しており、エネルギー政策において30年は長期ではない」(黒田玲子・東京大学大学院総合文化研究科教授)、などがあった。


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