[原子力産業新聞] 2004年1月29日 第2220号 <2面> |
[カネボウ合繊] 植物由来原料使用の原子力施設用衣料を試作カネボウ合繊はこのほど、植物由来原料「ラクトロン」による長繊維不織布使用の環境に配慮した簡易衣料を開発。今月から食品・薬品工場などを対象に販売を開始しているが、さらに同社では、同商品の原子力発電所見学者用や軽作業着用への用途拡大を目指した商品開発を進めている。写真は同簡易衣料の「つなぎ型」タイプで、袖口とズボンの裾部分に改良を加えた原子力発電所向け試作品。 「ラクトロン」は、トウモロコシのデンプンから得られるポリ乳酸を原料とする生分解性合成繊維。そのため、焼却した場合でも有毒ガスの発生もなく、発生燃量も紙や木材と同等に低いうえ、焼却残さがほとんど出ないなど廃棄処理が簡単。また、土中に埋めてコンポスト化することもできる。その他、抗菌性・抗カビ性があり、綿素材に比べて毛羽や埃塵の発生が少なく、衛生面を重視する病院内での軽作業着にも適している。 原子力発電所内での見学者用白衣などは現状、1度着用したものは焼却処理がされている。「ラクトロン」使用の簡易衣料は、生分解性能を発揮して簡単に廃棄処理できるため、その処理量を低減できるという。また、クリーニングをして繰り返し使用している工場見学者用白衣も、洗濯せずに破棄することにより、クリーニングの手間と経費を削減するとともに、洗浄剤を流さないことによる環境汚染の低減に貢献できる。 価格は300円から1200円。初年度売上30万着、2億円を見込んでいる。 |