[原子力産業新聞] 2004年1月29日 第2220号 <3面> |
[米、ロ] メガトン・トゥー・メガワット計画 開始から10年目迎える米ウラン濃縮会社 (USEC)とロシア原子力省の関連会社テクスナブエクスポルト(TENEX)は、14日、ロシアの核兵器級高濃縮ウランを希釈し、米国で発電炉用燃料として販売する「メガトン・トゥー・メガワット」計画が10年目を迎え、米国の濃縮ウラン需要の約半分を供給していることを明らかにした。 ロシア・米国両政府は1993年、ロシアの解体核兵器から出た500トンの余剰高濃縮ウランを米国に売却することで合意。これは、核兵器2万個・1万メガトン分に相当する。これを受けて、USECとTENEXは、1994年1月、20年間にわたる総額80億ドルの「メガトン・トゥー・メガワット」計画に合意した。 両社によると、これまでに、核兵器8000個分にあたる200トンの核兵器級(約90%)高濃縮ウランを、3〜5%の低濃縮ウランに希釈し、発電炉用低濃縮ウランとして供給、これからの発電電力量は2兆5000億キロワット時相当になるという。USECは、「米国の電力の約10%は、この希釈された高濃縮ウランから供給されている」としている。 USECは、この計画で最も注目すべきことは「税金を全く使わずに」商業ベースで行っていることだとしており、この計画により「米国とロシアの安全保障上の目標が、商業上の利益と合致した」と述べている。TENEXによると、同計画により、ロシア政府はこれまでに40億ドル以上の収入を得ており、2003年の収入は、ロシア政府の税外収入の10%に達するという。これによって、ロシアの原子力発電所の安全性改善、軍事産業の民需転換、汚染地域の除染などの予算付けが可能になったという。 |