[原子力産業新聞] 2004年2月5日 第2221号 <1面> |
[原子力委員会] 長計「意見を聴く会」が始動原子力委員会は1月28日、東京・虎ノ門の三井ビルで第1回「長計についてご意見を聴く会」を筑波大学の内山洋司教授と東京大学大学院の山地憲治教授を招き、開催した(=写真)。冒頭、近藤駿介委員長は「本会では原子力委員会の長計は如何にあるべきかも含めて幅広いご意見を頂きたい。様−な論点を整理し、今後の中身の審議につなげたい」と挨拶した。 内山教授は、@国内エネルギ−需要の停滞は一過性ではなく構造的で、今後10年間程度は年率1%前後の伸びに留まるA需要停滞のなかで自由化が進むと民間企業の設備投資、開発投資のリスク負担が難しく、国がこのリスクをどう負担するか大きな課題Bアジア地域でのエネルギ−需要増は著しく、今後原子力への依存を強めるC燃料電池など分散型技術も開発されるが原子力、火力など大型技術が基幹であり続けるD原子力発電は寿命延長と更新計画の早期着手が必要、プルトニウム利用技術の確立も重要 −−などを指摘した。 山地教授は、大気中CO2濃度安定化への長期戦略、温暖化対策における原子力の役割などについて提言。CO2排出量を何も制限しないと今世紀末のCO2濃度は現在の2倍強の800ppm以上になると予想、排出規制を行わない場合には、建設コスト2000ドル/キロワットの原子力には市場競争力がないと指摘した。 しかし、CO2濃度安定化目標値を現状の約50%増の550ppmに設定した場合、今世紀末の原子力は現在の約10倍の3500ギガワット以上が必要。今世紀中の天然ウラン資源の利用可能量が現在の既知資源の3倍とすると、今世紀後半にはプルトニウムの本格的な利用が不可欠とした。 その上で、CO2削減規制の不確実性を考慮すると、当面は使用済み燃料の中間貯蔵を選択し、将来に備えて再処理と直接処分の両選択肢を確保する必要があると提言した。 |