[原子力産業新聞] 2004年2月5日 第2221号 <3面>

[パキスタン] 核技術提供容疑で A・Q・カーン博士取り調べ

 【イスラマバード2日共同】パキスタンの「核開発の父」と呼ばれるアブドル・カディル・カーン博士が治安当局の取り調べに対し、北朝鮮、イラン、リビアに「ウラン濃縮技術を供与した」と供述していたことが分かった。政府当局者が1日、明らかにした。

 パキスタンによる3か国への核技術拡散疑惑は既に表面化しているが、カーン博士自身が供述したのは初めて。同当局者はまた、博士が、ウラン濃縮に必要な遠心分離機に使われる部品製造施設の建設を手助けするためマレーシアに複数の側近を派遣していたことが明らかになったと語った。

 このうち北朝鮮に対しては、核兵器への応用が可能な段階までウラン濃縮技術を高めていたパキスタンの核開発拠点「カーン研究所」を関係者が訪問することも許可していたという。政府当局者によると、ウラン濃縮技術の供与はウラン濃縮に不可欠な遠心分離機の技術供与の形で行われた。

 技術供与は1986〜87年に始まり、北朝鮮への供与がパキスタン治安当局によって97年に摘発されるまで続いたが、ハク、ブット、シャリフの歴代政権が当初から事実を把握していたかどうかは不明だ。

 <ムシャラフ大統領は核拡散への国家関与を否定。科学者が個人的な金銭目的で行ったと主張し、関与が証明された科学者の訴追を言明しているが、政府当局者は「(カーン博士は)金銭の授受はしていないが、核拡散には関与した」としている。/p>


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