[原子力産業新聞] 2004年2月12日 第2222号 <1面> |
[原子力委員会] 第2回「意見を聴く会」開催原子力委員会は9日、東京・虎ノ門の三井ビルで第2回「長計についてご意見を聴く会」を三井物産戦略研究所の寺島実郎所長を招き開催した。 寺島所長は「総合エネルギー戦略の中での原子力政策再考」をテーマに提言。総合エネルギー戦略として、エネルギー政策は戦略意志の問題である、という位置づけが極めて重要と指摘。 中東の石油に依存しない米国と中東依存度が80%台後半の日本とは立場が基本的に異なる。現在、日本は総合エネルギー戦略を再構築すべき時期であり、この際に戦略的な意志決定を行える機関を持つことが重要とした。 原子力政策では、@国家安全保障戦略の中核としての原子力A世界貢献の重要性B原子力依存構造への覚悟C核燃料サイクル政策の再考―などを挙げた。 中核としての原子力では、日本が非核平和主義を貫くためにも原子力の平和利用技術の蓄積を重視すべきと指摘。これが無ければ、核兵器廃絶への説得力や交渉力も無く、近隣諸国の原子力発電の安全性確保への協力基盤も維持できないとした。また、世界貢献では原子力の安全に関わる「和製デファクト・スタンダード」への主導権の確立を目指し、これを専門的に検討する恒常的組織も必要とした。 原子力依存構造への覚悟では原子力は人間が生んだ技術の中で「等身大の技術」ではないが、その技術により便益を得るという文明観が必要と指摘。核燃料サイクル政策では、現在の再処理技術であるピューレックス法に変わる技術として、改良ピューレックス法、ドライ方式などが開発されており、長期的には技術面も含め再考が必要ではないかと指摘した。 |