[原子力産業新聞] 2004年2月12日 第2222号 <2面>

[日立製作所・米アクシステクノロジー社] PET薬剤製造システムに参入

 日立製作所とグループ企業の米国アクシステクノロジー社は、このほどリニアックのRI製造装置を使用したポジトロン断層撮影(PET)検査用薬剤製造システム(=写真)を開発した。サイクロトロンに比べシステム重量が2分の1以下で、既存建屋にも容易に導入可能なシステムとして来年初旬から販売する。

 現在、PET検査用薬剤製造システムはサイクロトロンが主流で、リニアックの商品化は今回が世界でも初めて。サイクロトロンのような強固なシールドが不要なため、ターゲット、電源なども含めたシステム全体の重量が16トンと軽量。占有面積の約50平方メートルはサイクロトロンとほぼ同等だが、長さが約9メートルと長方形のレイアウトになる。リニアックの陽子ビームエネルギーは7Mev。価格は2〜3億円、サイクロトロンとほぼ同等という。

 茨城県日立市の日立製作所日立総合病院に納入の予定で、同病院では今春から茨城県内では初めてがんのPET検査を開始する。

 アクシス社は小型リニアックの専門メーカー。日立製作所は一昨年5月にPBT(プロトン・ビーム・セラピー)事業の拡大を目的に同社を買収した。日立製作所は自社のシンクロトロンとアクシス社のリニアックを組合わせた陽子線治療システム「PROBEAT」をすでに筑波大学に納入しているが、新たにPET検査用薬剤製造システム市場にも参入することで、一昨年2月に設立したPBT事業を強化する。


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