[原子力産業新聞] 2004年2月12日 第2222号 <3面>

[欧州原子力学会] バルセロナで原子力広報WS

【バルセロナ9日喜多記者】早春の強い日差しがふり注ぐスペイン・バルセロナで9日、欧州原子力学会(ENS)は、原子力関係広報・報道関係者を対象としたワークショップ「PIME2004」を12日までの日程で開催、欧州を中心に約180名の原子力広報関係者が参加した。「パブリック・インフォメーション・マテリアル・エクスチェンジ」を意味するPIMEは、1988年1月にスイスのモントローで第1回が開催されて以来、毎年冬に開かれているもので、今回が16回目。

 最初に歓迎の挨拶に立ったENSのB・バレ会長は、「原子力発電を行っている世界各国では、米国、中国、仏、ロシア、日本など、15か国以上で原子力が強い支持を受けているが、欧州では政治的・心理的に原子力に強い抵抗感がある」としながらも、欧州における昨年の記録的な猛暑が、エネルギー供給と温暖化対策の重要性を人々に印象づけたと述べ、原子力の重要性が欧州でも認識されつつあると強調した。

 続いて、ロカ欧州議会副議長が「政治問題としての原子力論議」と題して講演。「欧州のいくつかの国では原子力が最も激しい論争の元になっている」とした上で、2050年には世界のエネルギー需要が現在の2〜3倍に増加すると予想されることから、政治的なリーダーシップを持ってこの事態に備える必要があるとした。また、地球温暖化防止のため、CO2は今後50年間、現在の濃度の2倍以内に抑える必要があると指摘、この為にはCO2放出を1990年レベルの60%減にする必要があるとした。この実現には、@エネルギー効率向上とエネルギー価格上昇ACO2の分離・固定B再生可能エネルギーC原子力発電の増加―の4つのオプションがあるとしながらも、副作用が少なく実現可能性が実証済みなのは原子力発電の増加だけだとした。


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