[原子力産業新聞] 2004年2月19日 第2223号 <2面> |
[原子力委員会] 「人材と技術確保が重要」原子力委員会は16日、東京・永田町の全国町村会館で第3回「長計についてご意見を聴く会」を国際基督教大学大学院の村上陽一郎教授、東北大学大学院の長谷川公一教授を招き開催した。 村上教授は「安全と安心のギャップは何か」を主題に提言。不安は個人と社会の相関の中で生まれるが、原子力を含め、その専門家が非専門家である一般市民の不安の本質を知ることが重要と指摘。パブリックコメントの普及などは歓迎されるが、それでも非専門家は、政策意志が専門家の「独裁」により決定されているという意識が強い。コンセンサス会議など政策決定の場に一般市民の代表が参加するとともに、情報を共有することが、安心に繋がるとした。 また、最近、各種要素技術の重要度として原子力は極めて低い評価だが、こうした評価には強い危機感を持つ。人材と技術の確保が重要であり、長計にはこの点につき具体的な施策を盛り込むべきと要請した。 長谷川教授は「原子力発電に関する社会的合意形成をめぐる諸問題」について提言。要旨は、@原子力発電の社会的合意形成の難しさには各国に共通する構造的根拠があるA社会的合意が乏しい技術・プロジェクトほど事業推進にあたり権力性・政治性が前面に出るB安全性、コスト問題とともに原子力発電は衡平性の視点で「持続可能な技術」であることを弁証する困難な課題に直面しているC代替的なシナリオの検討無しに合理性は弁証できないD原子力委員会と長計はその歴史的使命を終えつつあるのではないかーなど。 社会的合意形成のための技術評価の視点として社会的有用性、不可欠性、コスト、安全性、社会的合意、世代間・世代内衡平性による持続可能性、政策的連続性の7項目を挙げ、この視点では原子力の評価は低いと指摘。また、原子力政策の経産省への実質的一元化が進展し、原子力委はその存在証明・自己維持のために核燃料サイクル路線に固執するという構造があるのではないか、と指摘した。
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