[原子力産業新聞] 2004年2月19日 第2223号 <3面> |
[米・政府] ブッシュ米大統領 が7提案ブッシュ米大統領は11日、首都ワシントンにある国防大学で講演(=写真)、イランやリビアなど核不拡散条約(NPT)加盟国による核開発をうけ、核兵器等の拡散を防ぐため、先進国がウラン濃縮・再処理関連の機器・技術を供給しないことや、追加議定書加盟国にのみ原子力平和利用での機器・技術の輸入を認めるなど、7項目にわたる提案を行った。 ブッシュ大統領は、核、生物、化学兵器などの「恐るべき兵器が、容易に取得、製造、隠蔽、輸送できるようになっている」と危機感を表明。イランが未だにウラン濃縮計画を中止しようとしていないとし、また、北朝鮮は核兵器保有を認め、さらに製造すると脅迫しているとして、米国はアジアの同盟国とともに「完全で検証可能、かつ後戻り不可能な」核開発計画の中止を求めていくと強調した。 同大統領はまた、近年、ブラック・マーケットという別の核拡散ルートが明らかになってきたと述べ、その例としてA.Q.カーン氏が組織した国際的なウラン濃縮技術の密輸・調達ネットワークに言及。カーン氏らは、マレーシアに遠心分離機機器の製造工場を建設、部品を欧州、中近東、アフリカなどから調達し、パキスタンの遠心分離機やその技術、六フッ化ウランなどを、イラン、リビア、北朝鮮等に売っていたと述べた。この事実は、米・英の情報機関の調査を元に、独・伊当局が、リビア行きの独籍船を臨検したことから明らかになったとした。 ブッシュ大統領は、日本を初め主要先進国とともに 「拡散安全保障構想(PSI)」を立ち上げ、情報の交換、疑惑を持たれる貨物の追跡等を行っており、航空機や船舶を臨検し、兵器やミサイル等の拡散に繋がる物資を差し押さえるつもりだと述べた。 この上でブッシュ大統領は、@PSIの普遍化A国際的な核不拡散管理の強化B冷戦時代の大量破壊兵器関連物質の管理強化C濃縮・再処理技術の非供給と保障措置追加議定書の普遍化D追加議定書加盟国のみに原子力関連輸入を許可E国際原子力機関(IAEA)理事会内に保障措置特別委員会の設置FIAEA理事会からの疑惑国の排除――の7項目の提案を行った。 原子力輸出についてブッシュ大統領は、「NPTには抜け穴」があり、北朝鮮やイラン等がそれをうまく使っているとし、核拡散の可能性を減らしながら原子力発電を進めるため、原子力発電施設の輸入国が濃縮・再処理の放棄を約束する場合、供給国側は燃料の安価で安定した供給を保証。また、原子力供給国グループ(NSG)加盟の40か国は、現在濃縮・再処理施設を持たない国へ、同技術を供給しないよう提案した。また、「追加議定書の署名国のみが、平和目的の原子力計画用機器・技術の輸入を許可される」とし、米国も早急に追加議定書を批准するとしている。
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