[原子力産業新聞] 2004年2月26日 第2224号 <4面>

[原研とサイクル機構] 第2回合同報告会開く

 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構は、6日、東京都千代田区永田町の星陵会館で、第2回の原研−サイクル機構合同安全研究成果報告会を開催した(=写真)。今回報告会は、昨年度に続き2回目で、約280名の関係者が参加した。

 冒頭、菊田滋サイクル機構理事の開会挨拶に続き、野村正之・原研東海研究所副所長と鈴木治夫・サイクル機構特任参事が両機関の安全研究成果の概要を報告。さらに両機関から原子力施設等、環境放射能、放射性廃棄物の三テーマについて、それぞれ安全研究成果を報告した。

 特別講演では、東邦夫原子力安全委員会委員が「高レベル放射性廃棄物の防護基準の概要」と題して、諸外国の状況を含めて講演し、今後取り組むべき安全研究の課題として、高レベル放射性廃棄物、TRU廃棄物、高βγ廃棄物(炉内構造物等)、ウラン廃棄物を指摘した。

 引き続いて、「新法人における安全研究の進め方」をテーマに、木村逸郎・原子力安全システム研究所技術システム研究所長が司会を務め、7名のパネリストでパネル討論を行った。

 渡辺格・文科省研究開発局原子力課長は、二法人統合と安全研究の展開、安全規制への協力活動について期待を述べた。平岡英治・経産省原子力安全・保安院原子力安全技術基盤課長は、保安院での安全研究への取り組みを紹介するとともに、統合法人への期待を述べた。村田貴司・原子力安全委員会事務局総務課長は、両機関の統合・独立法人化を踏まえて、原子力安全委員会は新しい安全研究重点計画を策定するとし、規制行政庁のニーズに直結した安全研究への期待を述べた。

 武藤栄・電事連原子力部長は、官民の役割分担が重要とし、燃料サイクル、高速増殖炉、次世代炉等で国の主体的な安全研究の実施を求めた。また鳥井弘之・東工大原子炉工学研究所教授は、安全規制のあり方に関する研究、人為ミスに関する体系的研究、確率的安全評価の大衆理解に関する研究に取り組むべきと主張した。

 石島清見・原研原子炉安全工学部長は、新法人の課題として、高い技術基盤の維持(施設と人材)、研究要員の確保、産学官の連携強化とフレームの構築などを指摘した。石黒勝彦・サイクル機構バックエンド推進部次長は、安全研究重点化では、@安全規制の緊急性A長期的な取り組みの必要性B基礎基盤的な側面などに留意するべきだとした。


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