[原子力産業新聞] 2004年3月4日 第2225号 <1面>

[サイクル機構] 大洗FBRシンポ開催

 核燃料サイクル開発機構は2月27日、FBRサイクル国際研究開発センターにおいて、大洗FBRサイクルシンポジウム2004「世界の進路と『常陽』『もんじゅ』の役割」を開催(=写真)した。約350名が参加、近藤駿介・原子力委員長の特別講演、海外五か国の技術報告、女性によるPA活動の実践討論会などが行われた。

 冒頭、殿塚理事長は、「もんじゅは改造工事に向け全社一丸となって取り組んでおり、FBRがエネルギー体系の主軸になるよう努めたい。是非とも皆さんのご理解をお願いしたい」と挨拶。近藤委員長は特別講演の中で、「革新技術は、初期技術開発段階というダーウィンの淘汰の海を泳ぎきる必要があるが、革新技術探索活動を国の事業として継続するには広範な政治的支持が必須。原子力委員会はこれを定期的に評価することになっているが、実施者自らも進め方について広範な国民の理解と支持が得られているか絶えずチェックすべき」と指摘した。

 海外からは、米国アイダホ国立工学環境研究所のベネット部長、ロシア物理エネルギー研究所のポプラフスキー副所長、フランス原子力庁カダラッシュ研究所のカルボニエ部長、中国原子能科学院のルー副主任技師、韓国原子力研究所のシム主任研究員などの責任者が技術報告。

 ベネット氏は、GW開発計画と先進核燃料サイクル構想(AFCI)を解説。ポプラフスキー氏は「BOR−60」「BN−600」などの運転実績と次期「BN−800」「BN−1800」(電気出力178万kW)の内容を説明した。また、カルボニエ氏はガス冷却高速炉(GFR)の開発計画について、ルー氏は現在建設中の実験炉とともに今後の原型炉・実証炉・商用炉などの建設計画について、シム氏は現在開発を進めている「KALIMER−600」についてそれぞれ説明した。

 パネル討論では中国原子能科学院から、2050年にはFBRで約3億5000万kWの発電能力を目指す、との計画が示され関心を集めた。

 核燃料サイクル開発機構からは永田敬・大洗工学センター長が「FBRサイクル技術開発の役割と今後の展開」と題して基調報告を行った。


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