[原子力産業新聞] 2004年3月4日 第2225号 <2面>

[千代田テクノル] 「イットリウム90」を販売 内用癌治療薬適用に期待

 千代田テクノル(細田敏和社長)はこのほど、放射性同位元素のイットリウム(Y)90医薬品グレード製品(=写真)を、放射免疫治療薬の研究開発用として日本アイソトープ協会を通じ初めて国内販売を行うと発表した。Y90は、英原子力公社が民営化したAEAテクノロジー社から輸入する。

 Y90は半減期64時間で2.28MeVの純β線を放出する。モノクロナール抗体が、非ホジキンリンパ腫などのガン細胞が出す抗原に特異的に接合、細胞内に取り込まれる性質があるため、Y90をモノクロナール抗体と結合することで、ガン細胞を内部からβ線で放射線照射する内用がん治療薬(放射免疫治療薬)に適用できるとして近年期待が高まっている。

 米国では2002年に非ホジキンリンパ腫の治療薬として「ゼバリン」名で米食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。現在、欧米では別の適応症でY90を用いたがん治療薬を開発中あるいは申請中。

 千代田テクノルはY90の新たな利用活性化のためY事業準備室を設置。今後、大学、研究機関、製薬企業に情報提供し、共同開発等を介して事業の展開を図りたいとしている。お問合せは、千代田テクノル・Y事業準備室(山本室長・電話03−3868−9221)まで。


Copyright (C) 2004 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.